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「かげろう」 2003年 フランス映画

 

 1940年、ドイツ軍の侵攻が迫るパリを逃れ、オディールは二人の子供とともに南を目指すが、途中、空爆で車が炎上。その時彼らを救ってくれた青年イヴォンと、安全な場所を求めて森へと入り、そこで見つけた無人の屋敷で、四人の奇妙な共同生活が始まることになる。

緑豊かな美しい自然の中、誰とも交流せず彼らだけの間で流れる時間。教師であるオディールと文字も知らない貧しいイヴォンには、戦争という特殊な状況でなければ、決して接点がなかったはずだ。息子のフィリップ、娘のカティも青年になつき、オディールもいつしか彼に心を許していく・・・。

 原作「LE GARCON AUX YEUX GRIS」(灰色の眼の少年)を読んだが、映画でのオディールがイヴォンの自分への思いに躊躇しながら次第に彼の誘惑に応えていくのに対し、原作での主人公は、むしろ自分の方からイヴォンに惹かれていく。原作は徹底して彼女の視点から描かれ、夫との思い出など過去の情景や心象と、現在の描写が交錯する。また、屋敷に兵士が訪れたとき、斧を手にしたイヴィンが、無害な彼らを背後から襲おうとして断念する映画の緊迫した場面は、原作では状況がまったく逆で、男たちに襲われたオディールを、イヴォンがすばやい身のこなしで果敢に救う。さらに、決定的に違うのは物語の結末。両者ともイヴォンの素性が明かされて彼らの生活が終わりを告げるのだが、映画はその上なぜあんな悲惨な運命をイヴォンに科したのだろう。彼のあふれる生命力からはむしろ不自然な感じがする。

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