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「ルパン」 2005年 フランス映画

 

 モーリス・ルブランのミステリー小説「ルパン」の誕生100年を記念して、「カリオストロ伯爵夫人」、「812」、「奇岩城」の三つの原作を元に製作された作品。ちなみに、2005年は、アンデルセン生誕200年、ジューヌ・ベルム生誕100年の年でもある。

LA COMTESSE DE CALIOSTRO」(カリオストロは伯爵夫人)を読んでから映画を観たのだが、映画は3作品をミックスした上、ベースである「カリオストロ伯爵夫人」にも異なるアプローチをしているため、全く別の内容に仕上がっていた。

まずルパンの出自について、原作では爵位がないため、恋人クラリスとの結婚を彼女の父・公爵に反対されるが、映画では彼はクラリスのいとこという設定で、公爵に剣の手ほどきまでしている。また、カリオストロ伯爵夫人は、原作では魔性の女ではあるものの本当の魔女ではないが、映画ではルパンの父が作った薬により不老の身となったという。ボーマニャンの恋慕を歯牙にもかけない原作の彼女は、映画ではムラートに変身して自ら彼を誘惑する。原作では彼女の下僕で目立たない風采のレオナールは、映画ではプロレスラー並みの派手ないでたちで、夫人の策略で焼き殺されそうになったルパンとクラリスを、なぜか直前に逃がしてくれる。

大きく違うのは、ボーマニャンの描き方で、原作ではカリオストロ伯爵夫人の逮捕やその後の宝探しなど、さまざまな場面で黒幕を演じる彼は、映画では公爵の部下の地位で、彼の指示の元、直接ルパンと対決する。またルパンも、原作では、伯爵夫人を船から救出する場面などに人間離れした体力を発揮するものの、決して剣を抜かず、そんなに喋ってる間に早く逃げたら?と思うほど語りに語って、むしろ言葉の力で相手を圧倒するが、映画では、言葉数の少ないルパンが映画らしい派手なアクションで活躍する。

原作は、カリオストロ伯爵夫人とクラリスの間で揺れるルパンの恋愛が軸になっていて、毒を飲まされて監禁されても、だまされても、婦人に執着し苦悩するルパンが描かれるが、映画では、幼い時に姿を消した父探しがもう一つの軸になっていて、最後に明かされるルパンとボーマニャンの、「スターウオーズ」そのままの構図にはびっくりした。

眼を奪うカルティエの宝石や華やかなファッション、巨額を投じたセットなど、映画は確かに楽しかったが、主人公の魅力と謎解きの面白さは、圧倒的に原作の方が勝っていると思う。

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